みんなが幸せになるための公務員の働き方

[書評]公務員の組織心理の人体解剖図

☑️ この記事は以下の本の書評です

幸せになるための公務員の働き方

 

”新幹線の裏側”のような公務員の中身

 

☑️ おすすめの方

  • 2030代の本気の公務員
  • 公務員は無能だと思っている人
  • これから公務員を目指す方

羊の毛刈りのように、手際よく公務員(組織を)を裸にする

この本は、とうもろこしの栽培の方法に関するエピソードから始まる。

 

昔は、とうもろこしの下の方の葉っぱを取ることによって、栄養素を身に集中させるのが正解だった。

対して今は品種改良により、下の方の葉っぱ取らなくて良くなった。

 

何が言いたいのかというと「昔は正しかったことは、今も正しいとは限らない」ということ。

 

読み進めると、この言葉が伏線を回収するような、快楽がある。

この言葉を頭にインプットして読み進めてほしい。

 

著者は、公務員の「求められない働き方」すなわち、公務員の特異的な環境が人間の主体性を奪うと説いている。

 

「事なかれ主義」とは、何気ない「先取り」という、ごく普通の公務員にありがちな傾向の蓄積として生み出されている。

「どうせ変えられないのなら、考えても無駄だ」という発想と結びつくと「思考停止をもたらす」

 

次第に、やらない理由を探し、それを合理的理由として採用されていくと、やらない組織が出来上がる。

そして「トラブルを避けるのが優秀な公務員」という価値観が出来上がってしまう。

これは、人間が悪いのではなく、公務員特有の緊密な世界がそうさせている。

 

無能なやる気のない公務員が生産される仕組みを解説しながら、「求められる働き方」へ順を追ってシフトしていく

 

公務員が作る付加価値

 

公務員にしかできない。

 

公務員に求められる付加価値の創造

 

これが公務員に課さられた重大なミッションだと説く。

 

公務員は利害から隔離されている。

この中立的な立ち位置をキープしたまま、行政の専門的知見を組織として蓄積する。

これらを活かしながら、地域の住民や企業と調整していく。

 

当たり前に聞こえるようなことだが、このミッションをストレートに記す書籍は少ない。

 

公務員の経験がある方は、絶対的権限をもったジャイアンのお母さんから叱られているような感覚になる。

 

具体的アクションは中堅世代向けに指南している印象

 

違和感と自らの良心を大事にしつつ、具体的なアクションを初歩レベルから提案している。

 

  1. 余力を作り出すために余分な仕事はしない
  2. 上司への確認方法のテクニック
  3. 会議のやり方

 

基本的なノウハウから、法律の壁を乗り越える法令自主解釈の方法までに至る。

 

公務員の世界は反対意見との戦いである。

リクスを徹底的に排除するのが優秀な公務員ということになっている。

その反論は、「法律違反だ」とか「例がない」「うまくいかない」「市民に反論される」という

法令的根拠からリスク回避、前例踏襲主義などのパターンに分けられる。

そんな、公務員なら一度は経験したことがある反対意見を切り崩す道しるべが本書の後半に記されている。

 

ちなみに冒頭で、トレンドの「働き方改革」と公務員の働き方を絡めている。

 

この本を読むことによって、働き方改革とは

「国の制度によって改革してもらう」のではなく

「改革は個人の主体的な意志が改革になる」ということが全体を通して読みとれるのではないでしょうか。

 

 

感想

思考停止した公務員の口癖は「普通は~」「常識的に考えて~」「一般的には~」だ。

結構嫌なやつだが、公務員の世界では優秀扱いされる場面が多々あると思う。

公務員の「できない理由」という強力は反対意見に対抗する手法、考え方は是非読んで頂きたい。

 

個人的には、効果的な対策はどれも一人の力では難しいと感じた。

ある程度の協調性を保ち、周りを巻き込む人間的魅力を欲する。そんな気持ちにさせる。

本書は、公務員の組織心理から生じる「ムダな堅牢性」を細かく裁断したいと思う公務員。

そして、公務員を外の世界から見てくださる市民にも読んで頂きたい内容になっている。

 

☑️ 要約

  • 公務員に求められるの特性は、利害から隔絶、専門性の蓄積、総合調整機能の融合
  • 事なかれ主義と思考停止に至る行政内部の仕組み

  • 一歩を踏み出すために「できない理由探し」を封印がスタートライン

 

みんなが幸せになるための公務員の働き方

著:嶋田暁文(しまだあきふみ)
1973年島根県安来市主出身
九州大学大学院法学研究員助准教授
専門は行政学、地方自治論
主な著書に『政策実施』、『現代日本の地方自治』など数多くの行政著書がある