語彙力と武器になる思考力を得る方法
意味のわからない言葉に遭遇したら、あなたはどのようにして調べますか?
文科省の調査によると、意味のわかららない言葉を調べるのに、二十代の8割以上はインターネット上の辞書を使用するようです。
早いし、ワードもコピーできるし便利ですよね。
ですが、インターネット上の辞書は、用例や例文まで丁寧にまとめられたサイトは少ないと思います。
ましてや、googleで検索した場合、検索結果の上部に意味が数パターン表示されますので、これで十分と言えば十分。
これらにより、簡単かつ一瞬で言葉の意味を調べられるようになり、言葉の意味を調べるハードルがグッと下がったように思えますが、言葉の意味を深く理解し、使いこなしている人がそれに比例するように多くなっているとは感じません。
これは、言葉に絶対的な正解がないためです。
書籍になっている辞書の編集者は、膨大な用例を集め、それに基づいて言葉の意味を追求しています。
そのため、言葉の実例が先にあり、後から意味がまとめられている。だからこそ編集者がまとめている例文までじっくり目を通したいものいです。
おもしろいと評判の『新明解国語辞典』(三省堂)
の語釈
恋愛【恋愛】
特定の異性に特別な感情を抱き、高揚した気分で二人だけで一緒にいたい、精神的な一体感を分かち合いたい、出来るなら肉体的な一体感も得体と願いながら、常にはかなえられないで、やるせない思いにかられたり、まれにかなえられて歓喜したりする状態に身を置くこと。(第5版)
▷ 思春期の青年の気持ちに没入したかのような語釈です。
逆に考えると二人だけで一緒にいたいと思わなければ、恋愛でないのか?高揚した気分にならなければ恋愛ではないのか?
という疑問が生じます。
これも、言葉があって現象があるのではなく、あくまでも現象を表現するための言葉であり、意味には唯一の正解がないと言える。
どうぶつえん【動物園】
生態を公衆でみせ、かたわら保護を加えるためと称し、捉えて来た多くの鳥獣・魚虫に対し狭い空間での生活を余儀なくし、飼い殺しにする、人間中心の施設。(第4版)
▷ もはや哲学的解釈ではないでしょうか。
ちなみに、googleでトップに表示される語釈は「各地から各種の動物⑵を集め、できるだけ自然の状態で飼っておく施設。観覧者を入れる公園ふうのものが多い。」です。
*六版が中古で安いですが、七版の方が格段に面白いです。
おわりに
言葉の本質を捉えることに趣きをおいた辞書から、フラットな視線で馴染みよく解説する辞書まで様々です。
言葉には唯一の正解はなく、使用する人の立場や環境(文化や教育)の差、価値観の違いで差が生まれます。